ウェディングドレスからストリートまで。チュールはなぜこんなに自由なのか
透け感のある素材、といえばまず思い浮かぶのがチュール。ふわふわしたスカートの裏地にも、バレリーナのチュチュにも、華やかなパーティードレスにも使われる、あの生地です。
でも、「チュールって結局なんの素材なの?」と聞かれると、意外と答えられない。そんな方も多いのではないでしょうか。このコラムでは、チュールという素材の正体と、その面白さを少しだけひも解いていきます。

素材の正体
あの繊細な網目は、実は極細の合成繊維でできている
チュールとは、六角形や菱形の小さなメッシュ(網目)が規則正しく並んだ、薄手の織物のことです。
素材は主にナイロンかポリエステル。かつては絹(シルク)で織られていましたが、現代のチュールのほとんどは合成繊維が使われています。細い糸を高い密度で組み合わせることで、あの透け感と強度を両立させています。
目が細かいほど高級感が出て、粗いほどボリューム感が強調される。同じ「チュール」という名前でも、用途によって目の粗さも厚みも変わるのが、この素材のおもしろいところです。

名前の由来
名前はフランスの都市から。18世紀に生まれた布が、今もファッションを動かしている
「チュール(tulle)」という名前は、フランス南西部の都市「チュール(Tulle)」に由来しています。18世紀ごろ、この地域で盛んに生産された絹の網織物がヨーロッパ全土に広まり、その名が素材そのものを指すようになりました。
当初は上流階級の婦人服や扇子の装飾に使われた、いわば「特別な素材」。それが19世紀に産業化が進み、合成繊維の登場とともに価格が下がり、一般的な素材へと変わっていきました。
バレエ衣装のチュチュが生まれたのも19世紀のパリ。ロマンティックバレエの時代に、軽やかさと動きの美しさを表現するために採用されたのがチュールでした。

ナイロンチュール
しなやかで光沢感がある
伸縮性があり、やわらかな手触りが特徴。光を受けたときの艶感が強く、ドレッシーな印象を出したいアイテムに向いています。チュールの中では比較的薄手のものが多く、体に沿う動きが美しい素材です。
ポリエステルチュール
ハリとボリュームを出しやすい
ナイロンより硬めでコシが強く、スカートをふんわり広げたいときや、重ね使いでボリュームを出したいシーンに向いています。シワになりにくく、洗濯後の扱いもしやすいのが日常使いでの利点です。
チュールはどこで使われているか
バレリーナのチュチュも、あのふわふわスカートも、同じ素材から生まれている
チュールが使われる場面は、想像以上に幅広いです。
バレエ衣装(チュチュ)
クラシックバレエの象徴ともいえる、腰から広がる短いスカート。何十枚ものチュールを重ねることであのボリュームが生まれます。軽さと透け感が、ダンサーの動きを美しく見せるために欠かせません。
ウェディングドレスとベール
花嫁のベールにも頻繁に使われます。薄くて光を通すため、顔にやわらかい印象を与えながら、輪郭をふんわりと際立たせる効果があります。
ファッションアイテム
今ではチュール素材はドレスやスカートだけでなく、トップスやアウター、バッグの装飾にも使われています。軽さとボリュームを両立できる素材として、デザイナーたちに重宝されています。
SHOP TULLE ITEMS
素材の成り立ちを知ると、服の見え方が少し変わります。チュールの軽さは、着る人の気持ちまで変える気がします。






